■ 魂の映画 ■





【羊たちの沈黙】 
厳密にはサスペンス映画であるが、ホラー要素・謎要素も強い。近代サスペンス映画の金字塔。
 中でも、ジョディ・フォスターの美しさと、レクター博士のキャラの完成度があまりにも際立つ。
 この映画以降のサスペンスものは、一時期、この映画を模倣しているものが非常に多くて困ったものであった。
 かなりの数の続編が出ているが、完成度は初代が最も高い。 


【遊星からの物体X】 洋名は、THE THING。アメリカ映画。    
 ホラーを見ない人からすれば、ありえないほどB級臭いタイトルではあるが、中身は本物。不朽の名作である。
 B級感がないとは言わないが、南極という逃げ場のない閉鎖された空間の中、細菌ともいえる怪物が、
 誰に取りついているのか、判別していくくだりがあまりに恐ろしすぎるサスペンス性があり、たまらない。
 クリ―チャーデザインも素晴らしい。若き日のカート・ラッセルがアフロなんだが、カッコよすぎる。


【シックスセンス】 幽霊がみえてしまう第6感(シックスセンス)を持つ少年と、そのカウンセリングをする男の話。
 なぜ幽霊がみえるのかを探る、探偵的なストーリーも面白いし、
 親と子のように交流する二人のつながりも非常に楽しめるが、なんといってもラストのどんでん返しのすばらしさに尽きる。
 ありがち、かつ、見え透いた仕掛けのはずなのに、いくつもの謎に埋もれてしまい、その仕掛けに気づかない。      
 

【ダイ・ハード】 説明不要のブルース・ウィルスのハードアクション。
 なんともシンプルなアメリカンヒーローではあるが、そのアクションの過酷さは、どんどんシリーズを
 増しても全然色あせない面白さがある。 完全にキャラ勝ちしてしまった定番映画である。
 何度見ても面白い。


【セブン】  猟奇殺人を追うサイコ・サスペンスの金字塔的作品。
 聖書等を上手く使い、謎かけと殺人予告を兼ねた作りがとてもいい。
 ビジュアルセンスもすばらしく、ストーリーはあまりにも凄惨。
 狂いっぷりが素晴らしい。 尋常じゃない。


【PUSH 光と闇の能力者】 超能力をモチーフにした映画で、僕が最高に痺れた作品。
 ストーリーにまったく暗さがない。 そして、これも敵、味方がわけがわかなくなる映画。
 能力がとてもリアルな感じで好感がもてる。 ヒロインのカミーラ・ベルが人知を超えた可愛さで困る。


【ミッションインポシブル】  スパイ大作戦のリメイク映画。
 とっくの昔に一人歩きしてしまった感があるシリーズ作品である。
 初代は、題名通りスパイとしてありえないミッションをこなす傍ら、誰が裏切り者なのか解らない、
 サスペンス方面の出来がよい。 以後のシリーズは、サスペンス方面をすっかり忘れた駄作である。


【スピード】  キアヌリーブスの出世作といえばこれであるが、今やマトリックスの印象のほうが強いか。
 ダイ・ハードを超える勢いで大ヒットした出来のよいアクション映画である。
 しかし、何を思ったのか、スーパーヒーローであるキアヌよりも、ヒロインのサンドラ・ブロックが可愛すぎて、
 スピード2にはサンドラ・ブロックしかでないというオチがある。 今となっては、古い映画のパクリと叩かれているらしい。


【メメント】 妻を強姦され殺害された主人公は、そのときの後遺症から10分しか記憶がもたない病気になってしまう。
 あらゆる工夫をこなしながら、妻のかたきをとろうと記憶を辿り捜査する話。
 めまぐるしく変わる状況や、真実と嘘が判別できないジレンマに振り回され、ありえないくらい難解だが、
 真実を見極めたくて何度もみてしまう映画。名作。


【トゥルーライズ】  凄腕のスパイが、家族に素性を隠しながら暗躍しようと奮闘する、コメディ・アクション。
 数々あったシュワルツネッガー作品の中でも最も秀逸と思われる作品。
 妻のジェイミー・リー・カーティスが、日本人好みからガッツリはずれる容貌をもつのだが、
 コミカルセクシーな姿に好感をもってしまう。 テロにおびえていたころのアメリカを思いださせる大作である。


【シャイニング】 スティーブン・キング原作をスタンリーキューブリックが監督し、ジャック・ニコルソンが怪演する奇跡のホラー作品。
 精神分裂的な怪奇表現があまりにスタンリーキューブリックな感じで難解さがあるが、
 大筋は狂気に狂う男を見事に描ききっている。原作では、過去に呪われたホテルが男を狂わせるという流れが強いらしいが、
 スタンリーキューブリック作品らしく、男が孤独感にさいなまれ、自分で狂っていったような感じもして曖昧な表現が映画の難解さをあげている。
 ドキドキハラハラがたまらない珠玉のホラーである。


【プレデターズ】  僕は、映画プレデターが大好きである。
 スナイパー的ドキドキがたまらないシュワちゃん主演の初代、黒人を主人公として街中で手四つでプレデターを渡り合う人間を描いた2作目。
 エイリアンvsプレデターなどで寄り道しながらも、最強とも言えるプレデター作品だと断言できるのがこの映画である。
 複数タイプのエイリアンvs世界各国の殺し屋を、プレデターが管理する惑星で戦いが展開される豪華さ。
 全体的な流れは初代を踏襲しており、ドキドキハラハラに人間の頼もしさがプラスされ、いい人間賛歌を謳った映画になっている。


【ミザリー】 一見善良な市民が豹変するタイプのサイコスリラー、サイコサスペンスの金字塔の一つ。
 スティーブンキング原作で一番注目を浴びた作品だといえる。
 とにかく主演のキャシー・ベイツの演技が怖すぎる。 監禁系のサイコスリラーとしては最高峯の出来であり、
 死んでも死なないといった恐怖が、体に刷り込まれる。


【チャーリーズエンジェル】  同名海外ドラマのリメイク的映画版。
 ”メリーに首ったけ”や”マスク”で脚光をあびたキャメロン・ディアスが最も輝いていた頃の作品。
 ドリュー・バリモア、ル―シ―・リューがエロカッコよく暴れるのを見るだけの映画ともいえる。
 最高の娯楽作品である。続編のフルスロットルはイマイチ。


【刑事ジョンブック 目撃者】  殺人事件の目撃者である少年を守り、犯人を逮捕しようと奮闘する刑事のドラマ。
 反面、アーミッシュという近代的な生活をしない宗教集団との交流や、少年家族との交流、恋愛などが色濃く描かれており、
 ヒューマンドラマ的側面が強く、何が主題だったのか忘れてしまうほど。 刑事ものとしても、秀逸な部分を忘れてはおらず、
 イイ感じにまとまった映画である。 荒々しいイメージのハリソン・フォード末期の作品ともいえ、ハリソンファンには貴重な作品。


【インディジョーンズ 失われたアーク】  ハン・ソロのハリソンが、更にスターダムに駆けのぼることになった
 インディジョーンズ作品の初代作。 作品のバランスとしては、2作目が非常に神秘的で面白い娯楽作品であるが、
 この初代は、ナチスと財宝を奪い合うという緊張感のある作品であり、パンドラの箱を開けるといった最終的な神秘性が
 非常に魅力的な作品で、非常に完成度が高い。 冒険映画の金字塔である。


【バックトゥザフューチャー】  スティーブン・スピルバーグ監督作品の最高峯と勝手に思っている快作。
 時系列にそった、過去・未来を交錯する作品として、非常に楽しめる。 現在・過去・未来を飛び回り、
 とんでもない冒険を繰り広げるのに、それはほんの小さな恋のためという世界観の広さのわりに
 解りやすいストーリーがたまらない。 デロリアンのオンボロなのに怪物マシンなデザインもたまらない。
 子供なんだか大人なんだかよくわからないマイケルJフォックスもたまらない。
 しかし、この映画、一番恐ろしいのは三部作になっていながら、本当は一作目で完結するはずの作品らしい。
 あの続編がやっつけで作られたものだというのか。3部作をもって完璧と言わしめる完成度をもっている。
 奇跡の作品である。


【トゥルークライム】  演者だけでなく監督としても評価が高いクリントイーストウッド作品の中では、
 あまり評価されていない作品。 でも大好きである。 ベテラン新聞記者が、死刑囚にインタビューしたところ、
 記者の勘から、その死刑囚が犯人ではないと判断され、その男を救うため、死刑までの12時間に奔走する話。
 クリントイーストウッドの本当の娘も登場。可愛すぎる。 年老いすぎたクリントイーストウッドが、編集長の妻を
 寝とったりしている設定が、あまりにも厳しいものがあるが、老かいな記者が奔走する姿は、
 いかにもクリントイーストウッドらしく、頑固親父っぽい姿に胸を打たれるのである。


【グラントリノ】  クリントイーストウッド作品。現代版 ”ゆるされざる者”というべき作品。
 朝鮮戦争の帰還兵である主人公は、フォード社を退職、妻も亡くなり、静かに暮らしていたが、
 街はアジア系人ギャングに溢れ、次々と人種差別的事件が起きる。 
 クリントイーストウッドが主演する最後の作品になったが、頑固親父全開で、とてもいい。
 あまりに年老いたため、哀愁すら漂うだけに尚更いい。 覚悟というものを感じ取れる貴重な作品。


【サイコ(リメイク)】 ヒッチコック作品のリメイク版。
 最低のリメイク映画だと評されているらしいが、非常に楽しめるサイコサスペンス。
 多くの仕掛けがなされており、実際の恐怖よりも想像させる恐怖を楽しめる。
 最後のどんでん返しは、現代でも十分通じる説得力がある。
 かなりの数のヒッチコック作品をみたが、実はサイコは、原版をみたことがない。 


【タクシードライバー】  ベトナム戦争の帰還兵が、タクシードライバーをやって平凡に暮らしている。
 しかし社会になじんでいるとはいえず、腐敗した社会に一石を投じるべく、狂気に走り出す話。
 ロバートデニーロの狂いっぷりも凄まじいが、少女にして娼婦を演じるジョディフォスターが
 なんと若干13歳!!美しすぎる天使の誕生であるが、それは今や昔の話である。


【ペットセマタリ―】 スティーブンキング脚本のホラー映画。
 本来、ペットセメタリ―というべきだが、子供のスペルミスを皮肉でそのまま題にしたセマタリーが正しい題名。
 死んだはずのペットや家族が、ある日何事もなく戻ってくるのではないかという妄想を逆手にとった救いようのない話。
 恐ろしいほどのB級感ただよう作品なのだが、恐怖は相当なもの。
 続編は、恐ろしく評価が低かったが、まだ見た事はない。


【時計じかけのオレンジ】  スタンリーキューブリックの問題作。
 暴力・ドラッグ・セックスを軸に狂いに狂った生活をしている人間を、強制的に真人間にしようという
 ロボトミーのような脳改造を扱った作品。 無茶苦茶な主人公ではあるが、イイ感じに愛らしく、
 イイ感じに憎たらしいキャラを持つ。 かなりハードな作品なのに、見終わると清々しさすら感じる。


【猟奇的な彼女】  日本版まで作られた韓国の代表的なラブストーリー。
 前半、わけのわからない展開があるが、一応意味も繋がりもある。
 後半は、キッチリとした恋愛もの。 無茶苦茶の彼女でも、受け止めることで愛し、
 その対処法を熱く語る主人公にグッとくる。
 無茶苦茶なくせに実は乙女チックなヒロインも捨てがたい。


【みんなのいえ】  三谷幸喜監督作品の第二弾。
 おしゃれな家を建てたい夫婦と、娘のために頑丈な家を建てたい大工親父、
 夫婦に依頼された新気鋭のインテリアデザイナーの意見が交錯する ”家を建てる” ホームコメディ。
 ものをつくる ことにプライドを持ち、同じような業界で生きることに勇気が湧いてくる、いい映画。大好きです。


【ALWAYS 3丁目の夕日】  昭和な世界観の中で、平凡に一生懸命暮らす、ホームコメディ。 
 何事にも一生懸命な姿に胸を打たれる。 怒りっぽい親父も、不器用な少女も、なかなか成功しない作家も、
 パッとしないが懸命に切り盛りするスナックも、ちっぽけだけど温かい恋愛も、親子ではないけど親子よりも堅い絆も
 すべてが昭和という感じが、とても懐かしく、胸にズシリとくる名作。